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年齢=彼氏いない歴のおひとりさま女子と7人の美少年(ただし人形)の同居生活!『帝一の國』原作者の最新作『アマネ†ギムナジウム』

『アマネ†ギムナジウム』1巻(古屋兎丸/講談社)

 現在、絶賛上映中の学園コメディ映画『帝一の國』の原作者として、あらためて脚光を浴びているマンガ家・古屋兎丸。その待望の最新作『アマネ†ギムナジウム』(講談社)1巻が4月21日に発売された。雑誌『月刊モーニング・ツー』に2016年3月から6月にかけて連載された4話分を単行本化したものだ。

 これまで個性的な作品を数多く手がけてきた著者が今回描いたのは、“年齢イコール彼氏いない歴”のおひとりさま派遣女子と、美しい少年人形の奇妙な同居生活。…と書くと「うちだって同じだよ!」という声が男女問わず各方面から聞こえてきそうだが、この物語に登場する人形は市販のフィギュアやドールとはちょっとわけが違う。魔法の粘土によって作られた7体の球体関節人形は、主人公のキスで命を吹き込まれ、人間と同じように動いたり、話したりすることができるのだ。

 物語の主人公、宮方天音(みやかた・あまね)は人形制作のかたわら、派遣社員として生計を立てている27歳。彼女が住んでいるのは門前仲町にある一軒家、といえば聞こえはいいが、かつて祖父が暮らしていた築80年の風呂なしオンボロ物件だ。生活はいたって地味で、男っ気もゼロ。制作にお金がかかるためいつも金欠で、お昼ご飯は白米と梅干だけなんてことも珍しくない。

 そんな彼女には人形作家として実現させたい夢があった。それは長年憧れてきた〈ギムナジウム〉の世界を、自らの手で作り上げること。ギムナジウムとはドイツの全寮制学校で、1970年代の少女マンガではしばしば取り上げられた舞台。中学時代、ギムナジウムを舞台とした萩尾望都の傑作『トーマの心臓』に出会って以来、その耽美な世界に取りつかれていた天音は、次の展示でその夢に挑むことを決意する。

 睡眠不足と貧困でボロボロになりながらも、やっとの思いで7体の美少年人形を完成させた天音。展覧会を無事に終えた彼女が、自らの妄想を具現化した人形たちの唇にキスすると、思いもよらない事態が巻き起こった! 人形たちが動き始め、彼女に話しかけてきたのだ。実は制作に使用したのは、店じまいする画材店からもらってきた50年前の粘土。「この粘土には魔法がかけられている」という店主の老人の言葉は本当だった…。

 こうして、美しい人形たちとの同居生活が突如スタートする。愛する人形たちのために、古ぼけた我が家をギムナジウムに改装しようと大奮闘する天音。しかしさらにとんでもない事態が発生する――。

 球体関節人形、ギムナジウムという一部の層にはたまらない耽美系のモチーフが扱われているが(わたしもそこに惹かれて手を取ったクチだ)、決して読者を選ぶ作風ではない。ドイツと日本、名門校の寄宿舎とオンボロ木造家屋というミスマッチが絶妙なユーモアを生み、予想を裏切る間口の広さを作り出している。21世紀の東京に暮らす派遣女子の夢と現実を描いた、痛快で上質なドラマといえる。

 物語はまだまだ始まったばかり。興味がある方は1巻が出たこのタイミングで手を伸ばしてみてはいかがだろうか。モノづくりが好きな人、職場では公言できないオタク趣味のある人なら、特に共感させられることだろう。

文=朝宮運河

(下記サイトより)

https://ddnavi.com/news/375593/a/

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