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人生100年、みんないつかは「ひとり」に。第一人者に教わる“ぼっち”の楽しみ方

・ひとりの行動は、周囲に煩わされずに楽しむ格好の手段

  • ・オススメはディズニーランドと、ちょっと高級な食事
  • ・“ぼっち”は悪じゃない。枷を外せば、選択肢は広がる
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長い人生、人間関係においてもさまざまな起伏がある。特に先々のことを考えれば、突然の解雇や離職、定年退職に夫婦の死別や高齢化などで、いわゆる“(ひとり)ぼっち”になってしまう可能性も、容易に想像がつく。そんなとき、多くの人が寂しさに駆られるかもしれない。反面、「ぼっちを積極的に楽しもう」と考える人もいる。食事やアウトドア、はたまたリムジンまでをひとりで楽しむ様子を綴った「『ぼっち』の歩き方」を上梓した、フリーライターの朝井麻由美さんだ。

 

「みんなと一緒」は、人によっては向いていない

 

「小学校から高校くらいまでの学校生活において、女子はグループに入っていないと生き残っていけないんですよね。そうしないと、『変わった子だ』と後ろ指を指されて教室内に居場所がなくなる。それが大学に進学すると、人との結びつきを希薄にできるので、『なんて気楽なんだ』と息苦しさがなくなりました。ひとりでいたいという潜在的な欲求に気づいたんです」

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そういえば社会に出て雇用されると、再び集団行動が基本になる。平日でも一人でいられるのは、大学時代か定年後くらいのことかもしれない。長い間“群れ”で生活して慣れてしまえば、リタイア後に孤独を感じてしまうのは無理からぬことだ。

「フリーライターという道を選んだので、取材でもない限り基本的にはひとりなのですが、私自身は孤独でさみしいといった感覚がわからないんですよ」

つまり朝井さんにとっては、ひとりでいるのが当たり前。だがそれは慣れなどではなく、積極的にメリットを得る行為だ。

「人と関わることでのマイナス面が気になるんですよね。気を遣うし、楽しむべきものの価値が薄れる。たとえば誰かを焼肉に誘ったとしても、『誘って迷惑じゃなかったかな? 本当は焼肉よりパスタが食べたかったとかじゃないかな?』と気になってしまうし、行っても相手が何の肉を食べたいかを慮りながらですよね。自分がカルビを食べたいからって、カルビばかり頼むわけにもいかない。複数での行動は『人に合わせながら』が原則なわけですよね」

誰もがそういう局面に身を置いたことがあるだろう。そこの店に行きたくないほどでもないし、異を唱えて波風を立てるのは得策ではない。妥協することが協調性に繋がるのだから。

「人と行くときには、会話にも気を配らなきゃいけないから、美味しさや作り手のこだわりにしっかり向き合いづらくなります。でもぼっちなら、自分のメモリを対象物を楽しむことすべてに注ぐことができるわけです」

他者との関係に注ぐリソースを、マイペースに、かつ目の前のことにすべて費やせる。確かにそう考えれば、ぼっちの行動には利点が少なくなさそうだ。

 

朝井さんオススメ! ぼっちビギナーが楽しめる場所

 

では、実際にどんな場所でぼっちを存分に楽しめるのだろうか。

「意外かもしれませんが、一番オススメなのがディズニーランドです。まず意外にもまったく周囲から浮きません。ミッキーがいて、精巧な作りの町が目の前に広がっていて、その状況にテンションが上がっているお客さんは、ほかのお客さんに目をやる余裕はないんです。それに、一人客が珍しいかというと実はそうでもなくて、ディズニーオタクのひとり客もちらほらいます。さらにシングルライダー制度というものを使えば、ビッグサンダーマウンテンのようなメジャーな乗り物の空いた席に、ほとんど待たずに乗せてもらえるんですね。1分も待たないで乗れるので、ストレスなく楽しめますよ」

アミューズメント施設のみならず、一人で楽しめる場所は少なくないという。とりわけ後悔しないのは、俄然“ひとりメシ”。

「たとえば、ちょっといい食べ物を独り占めできるフルコースや懐石は本当に楽しいですよ。私が行ったときも、50代・60代くらいの人がひとりで優雅にランチを楽しんでいらっしゃいました。食事といっても、BBQなどのアウトドア系では食材を運んだり火をつけたりと労力がかかるため、あまりオススメしません。食べたい食材を好きなだけ食べられるという意味では最高なのですが…」

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ひとり高級フレンチを楽しむ朝井さん。高い満足度を得られたと振り返る

さて、このようにひとりで食事を楽しむ様子を描くコミックやドラマが数多リリースされていることはご承知の通り。もしかしたら、社会全体がぼっち的行動に対し、許容側に傾いているのかもしれない。

「諸説あると思いますが、まだまだ意外性は伴うものだと思います。ただ、やりづらさのようなものは減ってきたのではないでしょうか。『みんなと一緒』という文脈に反対意見を出せる空気は出てきていると思います」

 

「みんなと一緒が最良」と考えるから、「孤独はみじめ」と感じてしまうだけ

 

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SNSなどを介して、朝井さんには共感のコメントがしばしば届くという。「かといってその特性上、“ぼっち仲間集まれ!”とか“ぼっちの絆”みたいなことにはならないんですけど(笑)」。そして共感の声は同世代にとどまらず、中年や高齢者世代からもあるとか。

「ちょっと上の世代の人は、友達が少ないことや独身でいることは“悪”だ、と捉えている人が少なくないみたいで、『このままでいいんだ!』という反応をもらうケースが多いですね」

気づきや勇気を与えるためにやっているわけではないというが、ひとりで行動することを是とする指針を、いつのまにか誰かに与えているようだ。

「本来、みんなでいることとひとりでいることに、優劣はないはずですよね。当たり前に『みんなと一緒がいい』と考えるから、『孤独はみじめだ』という発想になると思うんですよ。でもそれは、誰かが決めことではありません。学校文化から続いている感覚かもしれませんが、ぼっちでいても悪くないし、誰かに劣っているわけじゃないんです

ひとりの行動には、向き不向きもあることだろう。だがそれは、ライフスタイルの選択肢に過ぎない。孤独におびえ、うちひしがれるくらいなら、枷を外してぼっちを積極的に楽しむくらいのスタンスの方が、はるかにいいことは間違いなさそうだ。

文=吉々是良

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朝井麻由美さん
ライター、ルポエッセイスト。著書に『「ぼっち」の歩き方』、『ひとりっ子の頭ん中』がある。

(下記サイトより)

https://www.houdoukyoku.jp/posts/9925

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